2017.8.27 「ずるい」からの脱却。

photo by yuji kazama

 夏休みの締めくくりに、3年に一度開かれる現代アートの祭典、今回で6回目となるヨコハマトリエンナーレ2017ー島と星座とガラパゴスーを親子で楽しもうとLittle Artist League Yokohamaのお友達と一緒に、横浜美術館へ行って来ました。LAL発起人のお一人ハネカさんとエリックさんによるやわらかなナビゲーションのもと、子どもたちは自然な流れで現代アートの世界に入って行きました。ここで大切にされていたのは、「対話」。作品を見て、ググッと興味を持ったり、これはなんだろう?と疑問に思ったりする子どもたちのそばに寄り添い、対話をしながら共に作品を感じることは、想像以上に面白い体験でした。


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 子どもたちは生まれてから今まで体験したことや知ったことのすべてを総動員して、作品と対峙します。ただ見るだけでなく、すごい探究心と集中力で、アートを通じて対話し、いつのまにか自らもアートの一部になっている。。。

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 このクマたちとは、目と目を合わせて対話を楽しんでいました。私が、作者がこのクマたちにつけたキャプションを読み上げてあげると。「うん。納得。」という表情。ついにはクマと同じ体勢になってすっかりクマとお友達になったね。。。




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会場を一回りして戻って来た子どもたちは、もうすっかりアートの楽しみ方を彼らなりに体得したようでした。美術館正面入り口付近にマイクロバスが一台。その横に入国審査と書かれた看板とテーブル。実は美術館に入る前から気になりつつ、遠巻きに見ていたこの場所も、これはなんだろう?きっと何かがあるに違いない。と積極的に近づいて行きます。


 このマイクロバスに入るためには入国審査が必要とのことです。その国とは「どこでもない国」。この国に入国するためには、「どこでもない国はこういう国である。こういう国であってほしい。」という思いを宣言する必要があります。


 この夏休みに美しい自然やそこに生きる生き物たちの営みに触れた子どもたち、そして、それらを図鑑などで調べるうちに、その中には絶滅の危険にさらされている生き物たちもいる、そしてその原因の多くは人間の生活によって起こっているということを知った子どもたち。


 そんな彼らがよくよく考えて紡ぎ出した言葉は。
「この国には、どんな生き物も一緒に仲良く暮らせます。」
「この国には、ずるいがありません。」


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 「どこでもない国」の石の一部に足を乗せてされたこの宣言により、私たちは家族揃って、「どこでもない国」に入国することができました。


 国というものから解き放たれ、理想の国を思い描くことのできたこのひととき。ほんの数歩行って帰って来ただけの「どこでもない国」への冒険の残してくれた余韻はなんとも言えず爽快で、見慣れた景色が曇りなく真新しく見えてくるような、そんな感覚。


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 すっかりアートの楽しみを知ってしまった2人は、横浜美術館会場だけでは飽き足らず赤レンガ倉庫会場にも行きたい!と興味津々!やる気満々!


  赤レンガ会場も、映像と音楽が融合した気持ちの良い作品があり、その世界観にゆったりと浸り、「孤独」と「繋がり」の狭間の心地よい希望の余韻を胸に残しながら親子で楽しかったねと帰って来ることができました。


子どもと一緒にトリエンナーレ。また3年後、3年分成長したみんなでまた訪れたいなと思っています◎


旧暦 文月6日 七夕の前の夜◎

2017.8.7 サンゴの生まれる海で◎

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 この夏も、私たち家族にとってとても特別な場所となっている沖縄県の座間味島で夏の休日を過ごして来ました。とにかくのんびり、朝起きれば海に浸かり、昼間も木陰で休み休み海に潜り、夕方も夕日を見ながら海に浸かり、日が沈むまで。。。そしてご飯をもりもり食べ。眠る。。。

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 今年は、子どもたち二人ともゴーグルをつけて海に潜ることができたので、何10匹?何100匹?!もの色とりどりのお魚と一緒に泳げたり、アオウミガメがちょうど満ち潮に乗って海岸近くまでやって来て海藻をむしゃむしゃ食べているところや、息継ぎのため水面に出てくるところに遭遇することができたり、色とりどり様々な形のサンゴが見られたり。。。二人にとっての海の中の世界が大きく広がる機会になりました。


photo by yuji kazama



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 透き通ったあおい海の色。濃い色のところと薄い色のところがあるね。なめるとしょっぱいけど、あま〜い。磯のところは海の匂いが濃いんだ。静かにしていても絶え間なく寄せては返す波の音。サンゴや石でダムを作ってもすぐ壊れちゃう。水面を手でパシャパシャすると楽しい!気持ちいい!そんな波打ち際の海のイメージから、海の中に広がる豊かな深い命の世界へ。。。お魚はサンゴの周りにたくさんいるね、サンゴはお魚たちのおうちなんだね。と言いながら口いっぱいに空気をためて潜る次男、シュノーケルでいつまでも海の中の世界に浸りきる長男。その美しさ豊かさに魅了され、お世話になったお家のおじさんを始め地元の方達に可愛がってもらい、図鑑や本でそこに泳いでいた魚やカメの生態を調べたり、那覇に戻ってから行った博物館でさらに学びを深めたり、、、そうして彼らの世界が、じわりじわりと深く広がっていく様は、側で見ていてもとてもワクワクするものでした。


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 日々自然を五感で感じ楽しむことを精一杯。それだけで十分。でも小学生になった長男は、ある時図鑑を見ているうちに、それぞれの説明文の最後に赤い星マークがあるものがあることに気がつきます。この赤い星マークはなんだろうね〜。と見ると、そのマークは絶滅危惧種のマーク。


 美しく豊かな海の世界の中で、絶滅に直面している生き物たちがいる。なんで?どうして?興味のままにどうして生き物は絶滅してしまうのか?を調べると、それがどれもこれも人間の生活と密接に結びついていることを知ります。


 色とりどりのきれいな魚たちのお家のサンゴが、人間の排出する多すぎる二酸化炭素のせいで地球が温められ、海の水があつくなりすぎることで、サンゴが死んで白くなり、おうちを無くした魚たちは食糧と居場所の両方を無くして減ってしまい、それを食べていた大きな魚も減ってしまい。。。すべてが繋がっているということを、知ります。それが人間に繋がってこないわけがないよね。


 人間もすべての生き物も楽しく一緒にくらせる世界を。そんな工夫、色々できるよね。お家の屋根は全部動物たちの通り道になるように草っ原の橋みたいにして森と森を繋いでさ。海岸は埋め立てなくても良いようにうまく橋を作ったりしてさ。。。そんなことを言いながら、長男は思い描いた未来の地球を絵にして自由研究の一つとしていました。地球に生きる生き物として当たり前のフツウの感覚を、自然はあるがまま、そこにあるだけで、気づかせてくれる、教えてくれる。


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 座間味島は、沖縄本島の西に位置し、首里城の西側に築かれた物見台「西のアザナ」からもまっすぐに見える慶良間諸島の中の島の一つです。この慶良間海域には日本国内で確認されているサンゴの60%以上もの種類が生育し、初夏の満月の夜に産卵されたサンゴは沖縄本島周辺で造礁し、黒潮に乗って本土の方へも流れ着くため、「サンゴのふるさと」とも呼ばれているそうです。


 ここに、こうして豊かな自然が守られていることに感謝すると共に、私たちも何かお役に立てたらとおもっていたら、座間味村ではこの自然を守るための活動に使っていただけるふるさと納税制度もあるそうです。ほんのわずかな気持ちですが、そんな形もいいなと思っています。
http://www.vill.zamami.okinawa.jp/info/furusato.html

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 座間味島のおじさん〜ありがとう〜◎また来年も会いに行くよ〜◎


旧暦 水無月16日 立秋 南の島から戻ると、秋を感じました。