風間理紗  キセツクラシスト ガーデンエデュケーター
 ゆったりおったりの森 は、一つ一つの命が結われたり織り込まれたりしながら、それぞれに輝き調和を形成する美しい森のような、平和で安心して暮らせる世界の一助になればと、私が2009年からゆるりと続けているライフワークの総称です。
 季節ごとに自然を五感で感じ探求するガーデンワークやお庭にあるものを使った季節の手仕事や室礼体験をするキセツクラシの会を開く他、モンテッソーリエレメンタリーサークル「みんなの学び舎」の企画運営、地元公立小学校の校庭の一角を舞台に、子どもたちの地球市民としての自覚と自信を豊かに育むエディブルスクールヤード活動をしています。
 かれこれ20年続けているプライベートの畑では、肥料を使わず、耕さず、草を根こそぎ引かずに切って植物の根元にお布団のようにかける自然農を試しています。普段は家族だけで、ミミズがたくさんいて、ふかふかで、面白いなあと、子どもたちと一緒にただただ土を触ったり、のんびりしつつ、草刈りしつつ、という感じですが、春や秋には、お友達家族を誘って一緒に畑キャンプをするのが、最近の恒例になってきました。音楽も好き、アートも好き、本を読むのも好き、でもやはり、畑で一緒に育ったお野菜やお花を使って室礼をし、その美しさと愛おしさを愛で、みんなで感謝して美味しく頂く幸せはなにものにも変えがたいものです。
 そんな暮らしの延長のような、まさにライフワークの「ゆったりおったりの森」で、私が大切にしていること。そこに至ったきっかけや背景などを少しここでご紹介できたらと思います。
 
 日本には、太陽や月の動きに合わせた暦や、二十四節気、七十二候といった細やかな季節の移ろいを表す美しい言葉があります。そして折々に、今ここに在ることへの喜びと感謝、共に在る全ての存在への愛と思いやりの心をモノに託し設えもてなす、室礼という文化があります。目に見えるモノも、見えないモノも。
 私は先人たちがそれぞれの家庭の中で大切に繋いでこられた、こうした暮らしのことを敬愛を込めて、キセツクラシと呼んでいます。
 キセツクラシは、子どもから大人まで一緒になって楽しんで行えば行なうほど、長い年月をかけ、日本の風土の中で多くの人たちによって磨き上げられた美学に触れることができ、この地球の大地の上で生きるということの理に深く触れることもできます。
 わび・さびやZENといった日本的な精神が世界の人たちからも愛され大切にされているのも、単にシンプルでかっこいいといった表面的なものでなく、本当にこの地球の上で穏やかに平和に生きていくための普遍的な理が美しさへと昇華され結晶化されているからだろうと、感じています。
 大学生の頃、バックパック一つで、世界規模で起こる格差のしわ寄せを受け、物理的にも精神的にも困難な状態に置かれている人々をあちこち訪れました。あまりにも不条理な現状と、自らの非力さに思い悩みながらも、この大きな世界規模の環境や平和の問題にも、一消費者である私たち一人一人の暮らし方の変化がもたらす影響は小さくないはず。でも、人は、悲惨な現状を知るだけでは、辛いところからついつい目を背けがち。人はどういうきっかけで意識や暮らし方を変化させるのだろう。。。当時の私はそんなことを悶々と考えていました。
 そんな中、住宅メーカーに勤務し暮らしの文化への学びを深める中で、日本の家庭内で大切に受け継がれてきた文化である室礼に出逢った時の喜びと安堵感は、言葉に言い表せないものでした。循環と調和、感謝と祈り、愛と思いやり、そういった心を一つ一つ丁寧に形にすること。これだ!と思いました。
 このような暮らし方や暮らしを支える精神が、未来へ繋がる持続可能な暮らし方の古くて新しいモデルの一つとして、将来へ漠然とした不安を抱える多くの人たちの暮らしを、穏やかに支えてくれるものになったらいいと考えました。
 キセツクラシを根本で支えるものは、日本の伝統的な家庭内文化である室礼だと私は考えています。私にとって、室礼とは、日本の風土のなかで人々が息をする如く自然に知性と感性の両面から磨き上げてきた、細やかな丁寧の結晶のようなもの。 それぞれの家庭で受け継がれてきた事を、季節の節目に合わせ行なうことで、その全てが暮らしの一部となり、自分自身の一部となっていく、行なうアート。
 室礼研究家である山本三千子先生のもとで学び始めて16年、毎年巡り来る季節と共にお稽古を繰り返していますが、毎年新たな気づきや発見があるほど室礼とは奥の深いものです。一生学び続けても学び足りないこの奥深い日本の文化のエッセンスを、ますます深刻さを極める世界を乗り越えていかなくてはいけない子どもたちへ、私なりに還元できることはないだろうかと考えた時、 そのよさを伝統的な正しいものとして伝えるだけでは十分でなく、その心地よさを一人一人が体験を通して感じ、それぞれの頭で考え、「これならできる。」という自信とともに自分で選択し、大切な家族や仲間たちと一緒に思いっきり楽しんで行うこと、そういう機会が必要だと考えました。
 大人だけとか子どもだけでなく老若男女、様々な文化的ルーツを持つ人たちも一緒に、みんなで本気になって楽しんだら、これこそが未来への突破口になるかもしれない。 一緒になって思いっきり楽しんで、 一緒になって学び深め、その輪を広げていくこと。我が子だけでなく、みんなの子どもたちも一緒にみんなでできたらもっといい。そういう機会を提供する事、それなら私にもできるかもしれない。
 自然のリズムを知性と感性の両面から日々意識し感じながら、みんなで田畑を耕し、タネを蒔き、成長を見守り、時に助け、実りを自らの生命の糧とし、今ここに在ることへの喜びと感謝、共に在る全ての存在への愛と思いやりの心をモノに託す。それを思いっきり楽しんで。。。そんなキセツクラシの一つ一つの営みはささやかだし、一方世界の現状は深刻だけれど、あきらめたらおわり。私はこの小さな喜びと感謝の輪の広がりに、ワクワクしています◎
 
Risa Kazama   Yuttari ottari no mori founder & director, shitsurai artist, edible school yard FUTO program director & garden teacher, montessori elementary group founder, montessori aged care worker
Shitsurai is a Japanese art of bringing seasons into everyday life. This art has been practiced in Japan for thousands of years. With every rhythm of season and life, the Japanese people have celebrated with shitsurai by mindfully arranging vegetables, fruits, grains, flowers and other symbolic tools and objects.
Yuttari ottari no mori means “tying and weaving of the forest,” and it is the figurative name we use for the activity of binding ourselves through time to our family past and future by bonds of the living forest.
Shitsurai is a way for children and adults to come together and practice Yuttari ottari no mori.
Shitsurai provides a framework of ritual and vocabulary which adds meaning and beauty to an encounter with the natural world. The practice of doing shitsurai by hand forms strong sensory memories in childhood which can become part of the lifetime foundation of the child’s sentimental relationship with nature and Japanese culture.
 
ご連絡はこちらまで、お願いします。 
 info@yuttariottari.main.jp